大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天橋立

百人一首

60番歌

作者

小式部内侍(こしきぶのないし)。小式部内侍は56番歌に収録されている和泉式部の娘です。

意味

母がいる丹後へは、大江山を越え、生野を越えて、長い道のりを行かなければなりません。ですから、私は、天橋立のある丹後の地を踏んだこともありませんし、母からの手紙も見ていないのです。

背景

小式部内侍は、歌を詠むのがずば抜けて上手で、母譲りだったそうです。彼女の読む歌のすばらしさに嫉妬した宮中の女性たちの中には、誹謗中傷をしたり、あらぬ悪口を言った人もいたと言います。
ある時、宮中で歌合せが開かれました。歌合せというのは、歌人たちが左右に分かれ、テーマごとに一首ずつよんで優劣を競うもの。
小式部内侍もその歌人に選ばれたのですが、それを面白くなく思う人がいて、彼女は母に歌を詠んでもらっている、彼女自身では作っていない、そんな人を歌合せに参加させるわけにはいかないのでは?
という噂を確認するために、主催者である大納言藤原公任(ふじわらきんとう)の息子で小式部内侍の恋人だった藤原定頼が、小式部内侍に確認しに来ます。

その時に、さらり!と書いて渡した歌だそうです。

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